サレント地方の中心都市レッチェ(Lecce)は、旧市街全体がバロックの華やかな彫刻建築に彩られ、プーリア州南部=サレント地方の観光にとって一大拠点となっています。
オリーブ樹林や表情豊かな海岸線が織りなす雄大かつ牧歌的なサレントの大地には、それぞれが個性的な輝きを放つ数々の街が宝石のようにちりばめられています。そのなかでも歴史・文化・経済などあらゆる面でサレント半島を代表する街がレッチェ(Lecce)です。
プーリア州レッチェ県の県庁所在地であるレッチェ市の人口は約10万人、プーリア州内では州都バーリ(Bari)、ターラント(Taranto)、フォッジャ(Foggia)、アンドリア(Andria)に次ぐ人口第5位の街です。しかし際立った歴史と文化的な個性を放つレッチェはイタリア国内外において、これら人口上位4都市を圧倒するほど、プーリア州でもっとも存在感そして知名度のある街といえるでしょう。
レッチェは別名『南伊のフィレンツェ(la Firenze del Sud)』と呼ばれており、南イタリアらしからぬ(?)その優雅な街並みと上品な街の雰囲気は、しばしば旅人を驚かせています。ルネッサンスの都フィレンツェを凌駕するほどのバロック建築に飾られたレッチェの街は芸術の街として中近世にその繁栄を極め、『レッチェ・バロック様式(barocco leccese)』としてレッチェ旧市街全体が、その建築的価値を高く評価されています。
イタリアから次にユネスコの世界文化遺産が誕生する際には、レッチェ旧市街のバロック建築群がその最有力候補に挙がるだろうと、巷でもっぱら噂されているほど、年間を通じ数多くの観光客が世界中からこの美しい街を訪れています。
地元名産の石灰石『レッチェ石(pietra leccese)』を建材としてぜいたくに利用したバロック様式の歴史的な建築群が所せましと建ちならぶレッチェの旧市街は、太陽の動きにあわせて刻一刻と陰影豊かに表情を変えながら、圧倒的な迫力で旅人を迎えます。とりわけ、 夕陽に照らされ華やかな彫刻が優しい乳白色に光りかがやく夕暮れどき、あるいはモニュメントや建物が美しいライトアップで照らされる夜間などは、この街の美しさを堪能するのにうってつけの時間帯といえるでしょう。
サレント半島を宝石箱にたとえるならば、レッチェはさしずめ、宝石箱の中心でひと際大きく輝くダイヤモンドといった存在です。みなさんもご一緒に、バロック建築の迷宮がひろがるレッチェの美しい中世の街並みに、タイムスリップしてみてください。